木村建次郎✕小川紗良
世界で誰も解けなかった応用数学史上、未解決であった「波動散乱の逆問題」を証明し、数式を応用して世界初の「物体内透視技術」を発明した木村建次郎氏。簡単に言えば、物体に波動を与え跳ね返ってきた波動によってその物体の内部がどんな形状をしているかがわかる、という理論。この技術は下水道や高速道路の破損を見つけたり、医療の現場で応用されたりと、世界に広がっている。数式という抽象的なものから現実への応用を探る木村氏に、小川氏が迫る。
木村建次郎
神戸大学 数理・データサイエンスセンター教授 兼 株式会社Integral Geometry Science 代表取締役

10年の歳月をかけて、応用数学史上の未解決問題である「波動散乱の逆問題」を世界で初めて解決することに成功。散らばった波の波紋から物体の立体構造を瞬時に再構成することが可能となり、“人間がものをみること”の根本概念を覆す、数々の観測技術の開発・実現に貢献してきた。見えないものを可視化する『物体内透視技術』をコアテクノロジーとして、痛みのない乳がん検査を可能にする「マイクロ波マンモグラフィ」、発火リスクのある電池を判別する「リチウムイオン電池検査装置」、銃や刃物などの危険物を検知する「セキュリティシステム」やトンネルや橋などインフラの劣化箇所を可視化する「インフラ非破壊検査装置」などを開発。エネルギー、インフラ、安全保障等の分野にまで革新をもたらすべく、不断の挑戦をし続けている。
小川紗良(ナビゲーター)
文筆家・映像作家・俳優

2014年より俳優として活動を始め、現在は文筆業と映像制作を主軸に活動している。2023年1月からはJ-WAVE「ACROSS THE SKY」にてラジオパーソナリティを務めている。監督作に『海辺の金魚』(東映ビデオ)、著書に『海辺の金魚』(ポプラ社)『猫にまたたび』(blueprint)などがある。
2023年3月に創作の拠点として「とおまわり」を設立。「ときめく遠回りをしよう」をコンセプトに、読み物・映像作品・暮らしの道具などを届けている。