AKI INOMATA✕鈴木俊貴(聞き手:小川紗良)
いきものとともに制作を行うアーティストINOMATAさんと鳥類による言語の文法構造を解明する動物言語学者である鈴木俊貴さんは、アートと科学と立場は異なれど、いきものの視点になる、というところで共通している。いきものがどのようにこの世界を見ているのかを知ることによって、人間中心主義から脱却できるのではないかと問いかける。

撮影:野村左紀子 
AKI INOMATA
アーティスト

人間以外の生きものや自然との関わりから生まれるもの、あるいはその関係性を提示している。タコとアンモナイトを進化の時を超えて出会わせる「進化への考察 #1」、世界各地の都市から都市へと移り住むようにヤドカリが透明な殻を引っ越し続ける「やどかりに『やど』をわたしてみる」、真珠貝に小さな立体を挿核し貨幣の肖像となった人物をモチーフに真珠をつくる「貨幣の記憶」、飼い犬と作家とが毛と髪を交換して身に纏う「犬の毛を私がまとい、私の髪を犬がまとう」など、生きものと共に制作した作品を多く発表。近年の主な展覧会に、2022-2023年「六本木クロッシング2022展:往来オーライ!」(森美術館、東京)、2019年「AKI INOMATA: Significant Otherness 生きものと私が出会うとき」(十和田市現代美術館 、青森)など。
鈴木俊貴
東京大学 先端科学技術研究センター 動物言語学分野 准教授

1983年、東京都生まれ。動物言語学者、理学博士。鳥類を対象に鳴き声の意味や文法構造の解明をおこなっている。日本学術振興会特別研究員SPD、東京大学教養学部学際科学科助教、京都大学白眉センター特定助教などを経て2023年から東京大学先端科学技術研究センター准教授。日本生態学会宮地賞、日本動物行動学会賞、文部科学大臣表彰若手科学者賞など受賞多数。小鳥博士、シジュウカラ語マスター。2023年4月に世界初となる「動物言語学分野」を創設。
小川紗良(総合司会) 
文筆家・映像作家・ラジオナビゲーター・俳優

2014年より俳優として活動を始め、NHK朝の連続テレビ小説『まんぷく』(2018〜2019)、ひかりTVオリジナルドラマ『湯あがりスケッチ』(2022)等に出演。文筆家としては小説『海辺の金魚』(2021)、フォトエッセイ『猫にまたたび』(2021)等を手がける。初の長編監督作である『海辺の金魚』(2021)は韓国・全州国際映画祭にノミネートされ、劇場公開。2023年1月からはJ-WAVE「ACROSS THE SKY」にてラジオナビゲーターを務めている。同年3月、表現活動の拠点として「とおまわり」を設立した。