第二部

あたらしい見方で社会をみる
太刀川英輔
太刀川英輔氏は環境問題も含めて、いま私たちは持続不可能な社会へと突き進んでいるのではないかと危惧する。持続不可能性を回避するためには、人間自身のこれまでの創造性について改めて考える必要があり、これから未来をつくっていくにも、創造という人間のパワーを多くの人が持つ必要があると氏は主張する。創造の方法を誰もが理解し実行することができるようになるために、これまでの創造の歴史を紐解き、どのようにイノベーションが起こってきたのかをまとめたものが、氏の著書『進化思考』である。「進化思考」とは人間がこれまで創造してきたものの歴史的変遷のなかには生物の進化に似たいくつかの思考パターンがあるとして、これまで無意識に行われていた創造のあり方を体系化したものである。創造的思考の基本構造たる「進化思考」を知ることによって、誰でも創造的な思考を自分で認識しながら実行できる。多くの人々が創造的であることが、これからの未来をつくるために最も必要なことである、と太刀川氏は語っている。

Credit:NOSIGNER(Yuichi Hisatsugu)
太刀川英輔
NOSIGNER代表
JIDA 理事長
進化思考提唱者

デザインストラテジストとして、プロダクト、グラフィック、建築などの高度なデザイン表現を活かし、SDGs等を扱うプロジェクトで希望ある未来をデザイン。国内外の100以上のデザイン賞を受賞、グッドデザイン賞等の審査委員を歴任する。
山本七平賞を受賞した著書『進化思考』(海士の風、2021年)に体系化された、自然から創造性の本質を学ぶ思考法は、産学官の創造的人材育成に用いられる。
主なプロジェクトは、東京防災、PANDAID、2025大阪・関西万博日本館基本構想など。
他の著書に『デザインと革新』(パイ インターナショナル、2016年)がある。
https://nosigner.com/