SUMMARY 第三部 MAKE
柴田文江✕遠藤謙✕玉城絵美

遠藤謙+柴田文江+玉城絵美

プロダクトデザイナー柴田氏の進行で、コンピュータから人に身体感覚を伝達する“ボディシェアリング”の研究を行う玉城氏、ロボット技術を用いた身体能力の拡張や義肢開発に携わるエンジニアである遠藤氏が、テクノロジーがもたらす身体とその拡張について語り合った。
遠藤氏は、テクノロジーを用いれば、日常の動作をより円滑にできる義肢の開発や、より早く走るための義足などと言った機能を拡張していくことが可能になっていくと述べ、「テクノロジーを使って、これまでの身体以上のパフォーマンスを発揮する局面はこれから増えていくと思う」と語る。一方の玉城氏は、他人の体験を共有することで身体が変化していくことで身体感覚の拡張を行おうとしている。このような自分と他人の身体が交錯するということに対しては、ある種の「怖さ」がある。こうした未来の身体のあり方に対して、柴田氏は「湿り気」というキーワードを示した。「人間は湿っているけれど、つくるものは湿っていない。湿った感じに作ると親和性が出るのではないか」。これに対し、玉城氏は、「電気刺激を与えている方がしっくりくることがわかった。確かに自分は今何かを持った、確かに自分は何かに触れた….そういうことをずっとやっていると、自分のバーチャルキャラクターは自分の身体だという感覚になる。しっくりなじむ、ということですよね」と応じた。柴田氏は「新しいものと直前すると怖いという話があったが、その未来に行くか行かないかを決めるのも人間」と締めくくっている。
柴田文江
プロダクトデザイナー
エレクトロニクス商品から日用雑貨、医療機器、ホテルのトータルディレクションまで、インダストリアルデザインを軸に幅広い領域で活動をしている。
代表的な作品に、無印良品「体にフィットするソファ」/オムロン「けんおんくん」/カプセルホテル「9h (ナインアワーズ)」など。
毎日デザイン賞/グッドデザイン金賞/ドイツiFデザインアワード金賞/ドイツred dot design awardなど多数受賞。
Fumie Shibata
After graduating from Musashino Art University, Fumie Shibata established her own design studio, Design Studio S, in 1994. With a strong focus on industrial design, she is active in a widerange of areas, from designing electronics and healthcare products to acting as creative director for a hotel.
Her works have received tremendous acclaim worldwide, winning numerous awards, including the Mainichi Design Award, the Good Design Gold Award, the JCD Grand Award, the iF Gold Award, the DFA Grand Award, Gold Award, and Special Award for Culture, and the red dot design award.
遠藤謙
株式会社Xiborg 代表取締役
慶應義塾大学修士課程修了後、渡米。マサチューセッツ工科大学メディアラボバイオメカニクスグループにて博士取得。現在、ソニーコンピュータサイエンス研究所研究員。ロボット技術を用いた身体能力の拡張に関する研究や途上国向けの義肢開発に携わる。2014年には、競技用義足開発をはじめ、すべての人に動く喜びを与えるための事業として株式会社Xiborgを起業し、代表取締役に就任。2012年、MITが出版する科学雑誌Technology Reviewが選ぶ35才以下のイノベータ35人(TR35)に選出された。また、2014年にはダボス会議ヤンググローバルリーダーズに選出。
Ken Endo
Associate researcher at Sony Computer Science Laboratories Inc., and CEO of Xiborg Co., Ltd. Endo received his PhD as a member of the Media Lab's Biomechatronics group. At Sony CSL, he works on technology that rehabilitates and augments human physical capability, such as prostheses and orthoses. His team is now developing an athletic prosthesis with a goal of a gold medal in the 100m/200m sprint at the Tokyo Paralympic games in 2020. He has been named to MIT Technology Review's list of top innovators under 35 (TR35). He has also been chosen as a Young Global Leader 2014 by the World Economic Forum.
玉城絵美
Ph.D. , H2L株式会社 創業者/ 早稲田大学 准教授/JSTさきがけ 研究員
VR(Virtual Reality)とAR(Augmented Reality)内でのコンピュータからヒトに触感や身体感覚を伝達する研究とその普及を目指している。2011年コンピュータがヒトの手の動作を制御する装置PossessedHandを発表し,米Time誌が選ぶ50の発明に選出される。2012年研究用装置を研究者に提供し消費者へ共有するためH2L,Inc.を創業。2015年,KickStarterにて世界初触感型ゲームコントローラUnlimitedHandを発表し、2017年から外務省WINDS(女性の理系キャリア促進のためのイニシアティブ)大使を務めるほか、新たなセンシング技術を搭載した消費者向け製品 FirstVRを発表。
Emi Tamaki
Pioneer researching and promoting the use of man-machine touch and sensory interfaces within the virtual reality and augmented reality context. Developed PossessedHand in 2011, which controls the movements of a human hand. It was selected by Time Magazine as one of the top 50 inventions of 2011. Founded H2L Inc. in 2012 to bring her results to other researchers and consumers. She successfully kickstarted her newly developed haptic game controller UnlimitedHand in 2015. Since 2017, she has been working as ambassador for the Ministry of Foreign Affairs WINDS Program, which aims to promote the participation and activities of women in STEM fields. She also recently announced FirstVR, which is a consumer oriented VR accessory that incorporates new sensing technology.