FORUMの様子 第二部 MAKE
Future Tech Discussion
若林恵✕スプツニ子!✕猪子寿之
若林恵+スプツニ子!+猪子寿之
スプツニ子!さんは、MITメディアラボの「デザインフィクション研究室」で研究と学生指導を行っている。デザインを問題解決ではなく、見えない問題を探し出して提案していくものとして行う「スペキュラティブデザイン」という手法を使い、現在のテクノロジーが導きうる未来をデザインして問いかけている。例えばiPS万能細胞を使って、女性から精子をつくり卵子と受精させて子どもをつくることができれば女性どうしのカップルでも子どもを持つことが可能だというプロジェクトを実施。そのほかにも遺伝子組換えや倫理を壊していくようなプロジェクトを行っている。猪子さんは、現実空間とイリュージョンを混合させることで“境界”という概念を揺さぶる作品をつくっている。若林さんの現実社会の境界についての問いに対し、猪子さんは、トークの日がちょうどアメリカ大統領選の結果が出た翌日でもあり、ネットが出てきて実質的な境界の意味はほぼなくなってきているにもかかわらず、境界がなくても成り立たないという制度になっており、それがナショナリズムや国境などあらゆることを生み出しているのではないかと指摘している。「そもそもも人は体験でしか変われない」ので、境界がない体験をアートで抵抗しているのだという。スプツニ子!さんも、こういう時代だからこそ、アーティストはやりづらいこともあるが、逆にアートの意味があると思うと述べている。
若林恵
1971年生まれ。ロンドン、ニューヨークで幼少期を過ごす。早稲田大学第一文学部フランス文学科卒業。大学卒業後、出版社平凡社に入社。『月刊 太陽』の編集部スタッフとして、日本の伝統文化から料理、建築、デザイン、文学などカルチャー全般に関わる記事の編集に携わる。2000年にフリー編集者として独立し、以後、雑誌、フリーペーパー、企業広報誌の編集制作などを行なってきたほか、展覧会の図録や書籍の編集も数多く手がける。また、音楽ジャーナリストとしてフリージャズからK-POPまで、広範なジャンルの音楽記事を手がけるほか、音楽レーベルのコンサルティングなども。2011年より雑誌『WIRED』の編集長に就任。趣味はBOOKOFFでCDを買うこと。
Kei Wakabayashi
Born in 1971, Kei Wakabayashi spent his childhood in London and New York. After graduating from Waseda University with a degree in French literature, he joined the publisher Heibonsha. There he worked on the editorial team for the monthly magazine Taiyo, handling articles related to wide-ranging aspects of culture, from traditional Japanese culture to cuisine, architecture, design, and literature. He became a freelance editor in 2000, working on magazines and corporate publications as well as exhibition catalogues and books. As a music journalist he writes articles about everything from free jazz to K-pop, and also works as a consultant for record labels. He has been the editor-in-chief of the Japanese edition of WIRED magazine since 2011. In his spare time he buys CDs from second-hand stores.
スプツニ子!
現代美術家 マサチューセッツ工科大学 メディアラボ助教
Artist Assistant Professor of MIT Media Lab
テクノロジーによって変化していく人間の在り方や社会を反映させた映像、音楽、写真、パフォーマンス作品を制作。 最近の主な展覧会に、「第3回瀬戸内国際芸術祭」(ベネッセアートサイト常設作品 2016)など。2013年よりマサチューセッツ工科大学(MIT) メディアラボ 助教に就任し Design Fiction 研究室 を創設。2016年第11回「ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本特別賞」受賞。2016年4月~NHK「スーパープレゼンテーション」のMCを務める。著書「はみだす力」(宝島社)
Artist Assistant Professor of MIT Media Lab
テクノロジーによって変化していく人間の在り方や社会を反映させた映像、音楽、写真、パフォーマンス作品を制作。 最近の主な展覧会に、「第3回瀬戸内国際芸術祭」(ベネッセアートサイト常設作品 2016)など。2013年よりマサチューセッツ工科大学(MIT) メディアラボ 助教に就任し Design Fiction 研究室 を創設。2016年第11回「ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本特別賞」受賞。2016年4月~NHK「スーパープレゼンテーション」のMCを務める。著書「はみだす力」(宝島社)
Sputniko!
Creates videos, music, photographs and performance art works exploring how emerging technologies impact people and society. Her recent major works include a permanent pavilion in Benesse's art site for the third Setouchi Art Triennial in 2016. She is an assistant professor at the MIT Media Lab since 2013 where she founded the Design Fiction Group. In 2016 Sputniko! received the Special Award at the 11th L'ORÉAL-UNESCO Awards for Women in Science, and in April of the same year, she began hosting the TV program NHK Super Presentation. "The Power of Odd One Out" published by TAKARAJIMASHA, Inc. is among her recent publications.
猪子寿之
1977年生まれ。2001年東京大学計数工学科卒業時にチームラボ設立。チームラボは、様々な分野のスペシャリストから構成されているウルトラテクノロジスト集団。アート、サイエンス、テクノロジー、クリエイティビティの境界を越えて、集団的創造をコンセプトに活動している。
Toshiyuki Inoko
Founder of teamLab was born in Tokushima City in 1977.He graduated from the University of Tokyo in 2001, from the Department of Mathematical Engineering and Information Physics. He attended the University of Tokyo Graduate School of Interdisciplinary Information Studies before leaving in 2004.